思考は文字どおり 〔思考・文字・雑誌〕

思い考えることが思考であるが、論理学のうえでは、さまざまな概念を結合して判断し、さらに判断を結合して推理することが思考とよばれる。

思考はそれぞれの思考内容においては異なるが、形式においては共通性をもつ。

形式論理学は、この形式のうえでわれわれが正確に思考するための原理や原則を示す学である。

たとえば同一律や矛盾律はそうした原理であって、思考が正確であるための、つまり論理的に整合的であるための基本条件とされる。

哲学では思考を思惟とよぶこともあるが、これについてはさまざまな見方がある。

一般に思考する能力は知性とか理性とよばれ、感情や意志から区別されるが、「われ思う、故にわれ在り」で有名なデカルトは、思考を感情や意志の働きをも含めた広義での人間精神の働きとしてとらえ、そうした思考を精神の属性と考える。

またカントによると、思考は自発的な悟性の機能であって、それは受容的な感性を通じて与えられた直観内容と結び付いて、初めて対象についての認識を与える。

つまり単なる思考だけでは認識は成立しない。

しかしヘーゲルになると、いっさいの真なる思想は精神の活動である思考を通じてのみ産出されることになる。

なおデューイは、こうした思弁としての思考の絶対化を退け、人間の思考は生物体としての人間が環境に適応していくための道具であり、したがってそれは経験の場においてのみ有効であるとした。

ドイツのウォルフおよび彼の心理学説を継承する18世紀の心理学は、能力心理学といわれ、精神現象をさまざまな能力に分析記述する。

思考力・推理力・判断力・記憶力などがそれである。

思考活動は各人の思考能力に由来する。

しかし、この思考を能力とする考えは、続いて誕生した連想心理学によって否定され、学説史のなかへ消えていく。

連想心理学とは、一般に精神を、観念その他、精神的要素の連合によって説明する心理学説をいう。

しかし、この連想心理学説も、実験心理学の成果が明らかになるにつれて、その学説の弱点をあらわにする。
update:2010年02月23日